石原新党というまぼろし

 この手のニュースを目にするたびに思う。石原慎太郎は、絶対に失敗しない状況になるまでは、政治的な挑戦はしない。

 石原新党という試みを私が初めて聞いたのは、黎明の会の活動を通じてだった。以来、20年あまり出ては消えするのでいい加減、ニュースを追うのも馬鹿らしくなってきた。決断する気なら当にやってるだろうというのが正直なところだ。

 個人的には、石原慎太郎が新党結成を図るなら自民党が下野した93年が一番、良いタイミングだったと思う。既得権に縛られ改革ができない自民党や政界全体を批判し新党結成が一番盛り上がったのではないか。だが、彼が選んだのは、議員辞職だった。結果的に石原新党の実現を阻んだのは、自民党が、小沢一郎のミスで案外早くに政権に復帰してしまったことではないか。3年程度、下野していれば、政局は流動化し自民党は本格的に分裂していた可能性が高い。その動乱の中で新党結成といければよかったのだろうが、現実はそうは動かなかった。

 2番目のタイミングは、知事2期目、3期目の2000年か2003年の総選挙あたりだが、踏み切れなくはなかっただろうが、森、小泉という清和会内閣が続いていてちょっとやりにくかったのだろう。小渕政権が続いていて、政治が停滞していれば、新党結成はありえたかもしれないが(ただし、小渕政権が停滞したとは限らない。案外、うまく政治をハンドリングしたのではないかと個人的には思う)。

 そんなこんなで、躊躇している間に賞味期限が切れてしまった。かっては世論調査をやると石原慎太郎が首相になってほしい政治家として高い支持を得たことは何どもある。しかし、今は橋下徹大阪市市長という大スターがいて、支持率では常に彼の後塵を拝してしており、かっての輝きはない。そういう客観状況からすると慎太郎は挑戦をすることはできないだろう。彼の今までの政治的決断をふりかえると逆目がでている時にそれを跳ね返してまで行動する力はないと私は思う。最後の挑戦かとみえたたちあがれ日本から出馬することもなかった。今更決断しても、国民はいまさらととらえるのではないか。

 橋下徹との連携の中で石原慎太郎が何らかの役割を果たす可能性はまだ残っているし、ひょっとしたら新党結成はなくとも国政復帰はあるかもしれないが、正直なところ石原ブームがおこることはもうないだろう。

 後、舛添新党というまぼろしもかってはあったが、最近は聞かなくなったなあ...一時期政界関係者の間では、来月には結成される。大ブームだ。というような話がちょくちょく流行ったが。結局、実際にできてみたら、あんなものになってしまった。政局音痴だったんだな。

追記:一橋総合研究所ってまだ活動していたんだな。しかもNPO法人か。

●一橋総合研究所
http://www.h-ri.org/


元側近が明かす石原新党

元側近が明かす石原新党